(32) ヨナ書

ヨナ書は、ほかの書とは少し感じがちがいます。ほかの書は、神から与えられた預言をそのまま書いていますが、この書はまるで「預言者ヨナの物語」といったところです。

☆もう四十日すると、ニネベは滅ぼされる(ヨナ 3:4)

あるとき、神さまはヨナに呼びかけました。大都市ニネベに行き、人々に叫べ。「悪から離れよ」と。ところがヨナは、聞きしたがうどころか、ニネベとは正反対の方向に逃げ出してしまいます。じつはニネベは、イスラエルにとって強大な敵だったのです[1]。それを助けに行けだなんて。そんなことするくらいなら死んだ方がましだ! 滅びよニネベ!!

しかし、ヨナが船に乗って逃げようとすると、海は大荒れ。水夫たちは恐怖に叫び、船を軽くしようと積み荷まで海に投げ捨てますが、波は荒れ狂っていくばかり。大混乱の中で、とうとうこの大嵐が、神に逆らったヨナのせいだとわかってしまいます。ヨナはさすが預言者らしく、覚悟を決めました。自分をしばって海に投げ込め。そうすれば海は静まる。人々は尻込みしながらも、ほかにどうしようもなくなり、ヨナの言うとおりにします。急に波は静まり、人々は大いに主を畏れました。

神さまはヨナに、次のチャンスを与えられました。おぼれる彼を、大きな魚にのみこませたのです。魚のおなかの中で、ヨナは悔い改めと感謝の祈りをささげます。神さまが魚に命じると、魚はヨナを陸地に吐き出しました。

今度こそヨナはニネベに行き、都をめぐりながら、「悔い改めよ! もう四十日すると都は滅ぼされる!」と叫びました。なんとニネベの人々は、とてもすなおに彼のことばを受け入れ、王様までもが神の前にひざまずいたのです。神さまはもちろん、ニネベを滅ぼすのをおやめになりました。

☆あなたは当然のことのように怒るのか(ヨナ 4:4)

ニネベを惜しまずにいられようか
どんな悪人でも 神さまはみもとに立ち返らせたいのです

ところが。宿敵ニネベが救われたのを見て、ヨナは神さまに、怒りと文句をぶちまけてしまいます。そしてニネベの東の方に小屋を作り、暑い日射しをさけながら、都がどうにかならないものかと見守っていました。すると神さまは、日に焼かれる彼を守るために、1本のとうごま[1]の木を生やしてくださったのです。あまりの涼しさ心地よさに、ヨナの不満は消え去っていきました。

しかし翌朝、神さまはその木を枯らしてしまわれました。ふたたび怒り狂うヨナ。そんな彼に、神さまはおっしゃいました。自分でまいたのでも、育てたのでもないとうごまの木を、あなたは惜しんでいる。

「ましてわたしは十二万あまりの、右左をわきまえない人々と、
あまたの家畜とのいるこの大きな町ニネベを、
惜しまないでいられようか」。

(口語訳聖書 ヨナ 4:11)

あなたにひどいことをする人間を助けよ。ヨナでなくとも「そりゃあんまりですっ」と叫びたくなるでしょう。でも神さまは、たとえどんな悪人であっても、地獄に落ちろとは絶対に思われません。むしろ、悪の中にいる者がみもとに立ち返ることをこそ待っておられます。

悪いことをしてしまうのは、神の愛、キリストの救いを知らずに、苦しい人生を送っている人です。ヨナのように直接行って助けてあげられなくてもいい。敵のために、お祈りしてみましょう。

参考

立川福音自由教会 高橋秀典師礼拝メッセージ@2013.8.25
立川福音自由教会 高橋秀典師礼拝メッセージ@2013.9.1

西南学院大学聖書植物園 〜植物一覧・検索「トウゴマ」

[1] 「“子供っぽいおはなし”に変換しないで」

ぬりえ

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