(31) オバデヤ書

旧約聖書の中でもいちばん短いのが、このオバデヤ書です。たった1章、全部で21節しかありません。

☆立ち上がれ。エドムに立ち向かい戦おう(オバデヤ 1)

これだけ情報量が少ないと、オバデヤという人のことはもうまったく何もわかっていません。この書はエドムという民族について書かれているのですが、もしかしたら、エドムにまつわるいくつかの預言を、オバデヤの名前のもとにひとつにまとめただけかもしれないとも考えられています。

エドム族とは、先祖をたどっていけばエサウ。イスラエル民族の先祖はヤコブ。エサウとヤコブは、アブラハムの息子イサクの実の子供たち。そう、この2つの民族は、元をたどれば兄弟でした。ところがエドムは、弟とも言えるイスラエルに対して、とんでもないことをしました。敵国からイスラエルが攻撃されていた時、なんと敵の側についたのです。オバデヤ書は、イスラエルのエドムに対する激しい怒りと憎しみの感情に満ちています。この裏切り者! 神を忘れ、異教の国々に取り入り、兄弟に暴虐を働く! 主なる神は言われる。あなたは永遠に絶やされると!!

われわれは主から出たおとずれを聞いた。
ひとりの使者が諸国民のうちにつかわされて言う、
「立てよ、われわれは立ってエドムと戦おう」。

(口語訳聖書 オバデヤ 1)

人間は、兄弟だからというだけでなかよくできるわけではないんですね。むしろ兄弟だからこそ、憎さも百倍になってしまうのかもしれません。

☆彼はまず自分の兄弟シモンを見つけて(ヨハネ 1:41)

アンデレは兄を
弟が一番最初にキリストに会わせたかったのは兄でした

聖書には兄弟の話が多いですが、新約の方に、エドム&イスラエルとは、また全然ちがう兄弟が出てきます。

イエスさまの十二使徒のうち、一番弟子になった人、シモン・ペテロ。彼をイエスさまにひきあわせたのは、彼の弟のアンデレでした。ペテロとアンデレは漁師で、いつもいっしょに漁をしていました。ペテロは結婚していて、奥さんのお母さんも同じ家に暮らしていましたが、この姑の世話もきちんとやっていたことがうかがわれます。その家にアンデレも住んでいました。アンデレにとってペテロは、家族の面倒をよく見る一家の家長、信頼する兄貴だったのでしょう。

アンデレは、キリストが来られることを人々に伝えたバプテスマのヨハネの弟子でした。ある日ヨハネがアンデレに、イエスさまを指して「救い主」であると教えました。するとアンデレは、まず最初に兄ペテロの所に行き「メシヤ(救い主)に会った!」と言って、兄をイエスさまのもとへ連れていったのです。やがて兄弟は、二人同時にキリストの弟子となりました。そして兄は弟子たちのリーダー格として働き、弟はその兄を助けて、ずっと行動を共にしつづけたのでした。

兄弟というのは、たいがい性格が真反対だったりするものです。だからケンカになると、ものすごくぶつかりあってしまう。でもその正反対の持ち味を、神のために用いようと助け合う時、やはり他人同士とはくらべものにならないほど大きな力を発揮するのですね。

ぬりえ

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