(34) 嵐を静める

ガリラヤ湖で船の上から群衆に教えられたイエスさま。話し終えられると、今度は使徒たちにおっしゃいました。「さあ、向こう岸へ渡ろう。」

☆イエスは、…風と荒波とをしかりつけられた。(ルカ 8:24)

その頃にはもう日も暮れてきていました。しかしイエスさまがおっしゃるのです。使徒たちはイエスが乗っておられるままで、向こう岸へ向け、舟を漕ぎ出しました。他の使徒たちも、それぞれ舟に分乗して、ついて行きました。

ガリラヤ湖・嵐
イエスさまは本当にお疲れだったのでしょうね…

ところがです。ガリラヤ湖は、昼間は湖から陸に向かって風が吹きますが、夜は湖水の温度が下がるため、今度は逆に、山から湖に吹き下ろして来るのです[1]。その時はまた天候が激変したようで、「激しい突風が」(マルコ4:37)「湖に大暴風が」(マタイ8:24)起こった…とあります。

舟は大波をかぶり、今にも転覆しそうになりました。舟を漕いでいたのは、おそらく漁師のペテロやヤコブ、ヨハネたちだったはずですが、さすがの彼らもあまりの恐ろしさにパニックしてしまいます。しかしなんとイエスさまは、舟の一番うしろでぐっすり眠っておられるではありませんか。使徒たちはイエスを揺り起こし、口々に叫びました。ラビ[2]!! ラビ!! お助けください! 私たちがおぼれ死んでもいいのですかっ!!

すると…

イエスは起きあがって風をしかり、
海にむかって、「静まれ、黙れ」と言われると、
風はやんで、大なぎになった。

(口語訳聖書 マルコ 4:39)

そして使徒たちに言われました。「なぜ恐がるのか。信仰はどこにあるのか。」使徒たちは今度こそ本当に恐れおののきました。風や湖までが命令に従うとは、この方はいったいどういう方なのか…!

☆どうしてそんなにこわがるのです。(マルコ 4:40)

ガリラヤ湖・凪
イエスさまの驚異的な御力に驚く使徒たち

この記事は、2つの重要なことを教えてくれています。
1つ目:イエスさまと一緒にいたとしても、嵐には遭う。クリスチャンになったら、すべての苦難から守られ、毎日平和に暮らせる…なんてことはありません。残念ながら。むしろ、より重い負荷がかけられるかもしれない。神さまを知らずに生きている人たちに伝道する役目がありますからね。誰かに何かを教える、誰かを助けるという仕事をするには、相手よりも厳しい実習や訓練が必要なのです。そのかわり、どれほど重い負荷であろうが、それは神さまのご計画どおりです。そしてイエスさまが共におられるというのは、魂の筋トレをするのに、世界最高のトレーナーがついてくれているようなものです。

2つ目:イエスさまが眠っておられると感じる時もある。
苦難の嵐に翻弄され「こんなに必死でお祈りしてるのに、なんでイエスさまはすぐに助けてくださらないのか、まさか休んでらっしゃるんじゃないのかっ!」と感じる時も、おそらくあるでしょう。でもイエスさまは、一瞬で嵐を静める力、自然や天候さえも従わせる力をお持ちです。その時が来れば私たちは、暴風が収まって大凪ぎになる脅威の瞬間を目撃することになります。嵐が激しいほど、凪ぎの感動もきっと大きい。舟のことは主イエスにおまかせし、私たちはその足元にしがみついて凪ぎを待ちましょう。

参考

[1] ガリラヤ湖の地形
BIBLEPLACES.COMの「Sea of Galilee」などの写真を見るとわかりやすいと思います。

[2] ヘブライ語の「ラビ」(rabbī)は、日本で言う「先生」よりももっと格上の呼称。「我が師匠様」といったニュアンスのようです。

ぬりえ

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