キリストの最期の一日から復活までのシーンは、古今東西、数多の画家が描いています。それらの作品をぜひ生徒たちに見せてあげていただきたいです[1]。
日本では教会学校に来るのはマイノリティですが、他の多くの国々では“誰もが知っている”“共通基礎知識である”ことを実感できるからです。それは日本の子供たちにかなりな勇気をもたらします。多くの日本人にとっては、キリスト教は「ホントはあまりよく知らない、外国の宗教…」のようなボンヤリしたイメージですが、実際には多種多彩な国々にすでに福音は宣べ伝えられ、クリスチャンは世界では多数派(全人口の約1/3)なのです。もちろん、多数であることが必ずしも良しという意味ではありませんが(それは逆に聖書的ではありません)。
同じ場面を、時代や国の違う画家が描いたものを複数並べるのがおすすめです。それぞれが異なる文化的背景を持って描いているのを見る方がバランスよく見比べられますから。ただ、CS教師は重要なポイントを知っておくべきだと思います。歴史上、キリスト像からは「ユダヤの気配」は意図的に消し去られてきたということです。面立ちや服装、背景や小物に至るまで。西欧諸国においてユダヤ人は、神に選ばれた民でありながらイエスを救い主と認めず磔刑にした罪深き者たちなのです。被差別民族であるユダヤ人の面影をキリスト像に反映させたくなかったのでしょう。教会学校の生徒でも、高校科くらいで、世界史を学んでいるようならこの件も理解できるかと思いますので、解説しても良いかもしれません。
アトリエ Trinity では、できる限り聖書的に正しいキリストの画像を目指していますが、大変難しい作業です…。聖書はすべてが「ことば」によって成り立っており、視覚的な要素はゼロですから。天幕や契約の箱を作らせるのに、文章だけで図面は無い。祭司の衣服の構造も、文章だけでデザイン画や型紙は無い。神さまはことばであり、イエスさまもことばです。ここまで徹底して「像を造ってはならない」という神さまのご意志の前に、教会学校の生徒たちのためにはイラストを使っても良いのか…?と不安になりますが、私たちは大切なことを理解しています。私たちは決して偶像を求めているわけではないということです。キリスト像を拝んだりはしないし、聖画の前にひれ伏したりもしない。アトリエ Trinity のイラストをご使用になる際には、ぜひそのことの意味も生徒さんたちに教えてあげてください。
[1] 外国の絵画作品の場合、欧米であれば著作権の保護期間は作者の死後70年という国がほとんどです(中南米にいくつか75年〜100年の国あり。必要であればお調べください)。以降は商業的に利用することも可能です。(著作権法第58条)
また著作権の保護期間中でも、インターネットに掲載された著作物は、学校などの授業で用いる分には自由に使うことができます。(著作権法第35条)