(54) 神の子なのか 違うのか

イエスさまは、町々村々を教えながら、弟子たちとともにエルサレムに向かって旅を続けられました。もちろん、その間に何人もの病人をいやされながら。

☆安息日に病気を直すことは正しいことですか…(ルカ 14:3)

その日は安息日でした。礼拝の日です。イエスは会堂で教えておられました。そこに、十八年間も病に冒され、腰が曲がってしまった女性がいました。イエスが彼女の腰に手をおかれると、たちどころにいやされ、腰がまっすぐに伸びたのです。女性は歓喜して神をあがめました。が、会堂管理の責任者が飛んできて群衆に言いました。治してほしければ平日の6日間に来なさい! 安息日に医療行為をするのは律法違反である!…イエスは彼に答えられます。安息日に、家畜に水を飲ませてやっても良いのに、十八年もサタンに縛りつけられていたアブラハムの娘を解き放つのは良くないと言うのか…

また別の安息日に、イエスはあるパリサイ派の指導者の家に入られました。すると真正面に、水腫という病気の人がいました。イエスは今度は先に、指導者たちに向かって問われました。「安息日に病気を直すのは、正しいことですか、それとも良くないことですか」…彼らは黙っています。イエスは、病人を抱いて、いやしてやりました。そして指導者たちに言われました。あなたがたは自分の息子が井戸に落ちても、安息日だからと言って見殺しにするのか…

どちらが良いか。子供でもわかります。けれど指導者たちにはその教えが、どうしても受け入れられませんでした。命がけで律法を守ってきた自分たちの人生を全否定してくるイエスは敵だ!としか思えなかったのです。

律法学者にお答えになるイエス(2)
宗教的指導者たちとの対立は激化していった

☆わたしと父とは一つです。(ヨハネ 10:30)

そんな彼らに、イエスはあるたとえをお語りになります。「わたしは良い羊飼いです。良い羊飼いは、羊のために命を捨てます」。私イエスという門を通らずに、羊[1]の囲いに忍び込んで来る盗賊がいる。彼らの目的は羊を殺すことだ。だが私は命がけで羊を守る。羊も私の声だけに従い、他の人にはついていかない…[2]。指導者たちはこの言葉を聞くと、やつは頭がおかしい!と吐き捨てました。しかし一部の人々は、当然の感想を口にします。「頭のおかしい人間が病人を治せるか!?」。仲間同士で分裂が起きてしまい、指導者たちはますますいら立っていきました。

それからしばらくたった宮きよめの祭りの日。神殿にいたイエスを、指導者たちが取り囲みました。あなたが本当にキリストならさっさとそう言いなさい! イエスは答えられます。「もう言ったでしょう。あなたがたが信じないのだ」。それはあなたがたが、“わたしの羊ではない”から。私の羊は、“父”が私にお与えくださったのです…

「わたしの父がわたしに下さったものは、すべてにまさるものである。
そしてだれも父のみ手から、それを奪い取ることはできない。
わたしと父とは一つである」

(口語訳聖書 ヨハネ 10:29–30)

父!? 神を“父”と!? 自分を「神の子」だと! 神と一つだと!! 神への冒涜だっ! 死罪だ、石打ちだっ!! と石を取り上げる彼らを、それでもイエスは教えようとなさいました。私の言葉が信じられなくても、私のわざを信じなさい。そうすれば私が神の子だとわかる…。

でも、どうしてもダメでした。簡単なことなのに。私たちのするべきことはたった一つ。イエスさまに呼ばれたら、ついていけばいいのです。

参考

[1] 羊の家畜化は古代から始まっていたようです。家畜としての羊は大変有用ですが、世話をするには技術が要り、初心者にはムリとも言われています。自力でエサ(牧草と水)を探し出せない。外敵に襲われても戦う手段を持たない(できるのは“逃げる”ことだけ)。常に群れの中にいないとダメで、一頭が偶然走り出しただけでも全部があわててついて行ってしまう、追いかけ遅れて群れから離れてしまおうものならパニックに陥る。かと思えば、ちょっとしたくぼみ程度にもビビって先に進まなくなる…。現在、世界では10億頭もの羊が飼育されているそうですが、もしも熟練した羊飼いがいなければ、とっくに絶滅していたのではないかと言われています。

[2] しかし、羊の聴力は良く、人や他の羊の顔を識別する能力も持ち、それを何年も記憶することも可能だそうです。まさに、羊飼いに従うことによって幸せに生きられる動物だと言えましょう。
動画 Do sheep only obey their Master’s voice?

立川福音自由教会 高橋秀典師礼拝メッセージ@2015.10.4

城山キリスト教会 関根弘興師礼拝メッセージ@2013.6.23
城山キリスト教会 関根弘興師礼拝メッセージ@2013.6.30
城山キリスト教会 関根弘興師礼拝メッセージ@2013.7.14

ぬりえ

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