イザヤ書からあとの17の書は「預言書」と呼ばれます。預言者とは“神さまのメッセージを民に伝える人”。イザヤ書は、4つの「大預言書」のうちの一番最初のものです[1]。
☆彼らは主を捨て、イスラエルの聖なる方を侮り、背を向けて離れ去った。(イザヤ 1:4)
預言者イザヤはBC740頃の人です。ユダヤの国が北イスラエル王国と南ユダ王国に分かれてしまってから、すでに200年近く経っていました。実際にこの2つの国が滅ぼされるのはもう少し先なのですが、この頃にはもう両国とも、特に北王国は、とても落ちぶれていました。国中が乱れに乱れていたのです。悪事を働き、不正を行い、神殿での礼拝は形だけ。それどころか神殿が売春宿と化した状態でした。異教の影響です。民は神さまのおきてに、完全に背を向けていました。
神さまはそんなユダヤの民を見て嘆いておられました。不思議な幻のような姿でイザヤの前に現れると、民のところに行って私のことばを伝えよと命じられました。私に立ち返らないなら、まず北イスラエル王国が、やがて南ユダ王国が、滅びるだろう… そのために私は、おまえたちの敵を用いる。アッシリヤ、そしてバビロン、この強大な帝国によって、おまえたちは捕えられ、それぞれの国で奴隷となるのだ…
困ったら神さまにお願いさえすれば、必ず助けていただける…というような都合のいいことはありません。私たちが神の教えに背きっぱなしで、困った時だけ「助けてください!」みたいなことをやっていれば、神さまは「この者には訓練が必要だ」と判断されます。その訓練のためには、なんと私たちの敵さえも利用されるのです。
☆男の子を産み、その名を『インマヌエル』と名づける。(イザヤ 7:14)
イザヤはもちろん神の命令に従います。まず南ユダ王国の王アハズの所へ行き、神のメッセージを伝えました。しかしアハズは、イザヤの警告を聞こうとしません。彼は国を存続させるために、帝国アッシリヤに泣きつこうとしていたのです。やがてその国によって自分たちが破壊し尽くされることになるというのに! イザヤにはわかっていました。自分の力で自分を救おうとおろかな策を練るような高慢な者には、厳しい神のさばきが下ることを。
彼は言います。イスラエルは滅亡する… 民の行く先は闇。
それゆえ…
それゆえ、主はみずから一つのしるしをあなたがたに与えられる。
見よ、おとめがみごもって男の子を産む。
その名はインマヌエルととなえられる。(イザヤ 7:14)
インマヌエル=〈神は私たちとともにおられる〉。自分で自分を救うことのできない人間のために、神が救い主を送ってくださる… イエス誕生の預言です。むろんこれは、今すぐに救世主が現れて敵を粉砕してくださる!という意味ではありませんでした。イエスさまのお誕生は、この700年後。さばきはやはりきっちり受けなくてはならないのです。
旧約聖書を簡単にまとめると;
人は神に愛される存在として創られた
↓
が、神に背き、罪の世界に落ちてしまった
↓
神は罪を必ずさばかれる
↓
だが最後には救い主を送ってくださる。
なぜなら、どれだけ時が経とうとも、神さまは変わることなく、私たち一人一人を愛しておられるからです。何とかして救いたいと願っておられるからです。
参考
[1] イザヤ書を読み解くのは、本当に大変ですね(-_-;) この書の意味が明らかになったのは、彼の預言が成就した時=つまりイエスさまが現れ、その生涯が記録されてのちだと言えます。イザヤが書いた時には、この書は誰が読んでも、まったく“意味不明”だったのです。ほとんど判じ物な上に、時系列もしっちゃかめっちゃか(^_^; だから、私たちもこの書を読む時は、新約聖書の福音書を読み、照らし合わせながら→イザヤ書…がいいと思います。
四大預言書についての参考書籍;『今、ここに生きる預言書』高橋秀典師
ぬりえ
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