「どんな人が神の国に入れていただけるのですか、永遠のいのちをいただけるのですか?」…その質問へのイエスのお答えは、弟子たちにとってさえ驚くようなものでした。
☆金持ちが天の御国に入るのはむずかしいことです。(マタイ 19:23)
イエスさまに祈っていただこうと、人々が子供たちを連れてきました。イエスは大事なお話をしている最中です。弟子たちは、おじゃまをするんじゃない!と追い払おうとしました。当時のイスラエルでは、子供は“無力な者”とされていたのです。ところがイエスは弟子たちにおっしゃいました。子供たちを来させなさい。子供のように素直に神の教えを受け入れる者だけが、神の国に入れるのですよ…
今度は、金持ちの青年がやって来てイエスに聞きました。「永遠のいのちをいただくには何をしたら良いですか?」 イエスは答えます。「神がモーセに授けた律法を守りなさい」。それは幼い頃からずっと守っています!…胸を張る青年に、イエスはもうひとことおっしゃいました。あなたの持ち物をすべて売り払い、貧しい人たちに与えなさい。そして私について来なさい…
青年はそれを聞くと、悲しみながら立ち去りました。財産を手放すことができなかったのです。「金持ちが神の国に入るのは、なんとむずかしいことか」というイエスの言葉に、弟子たちは本当に驚きました。金持ちは“神さまに祝福されている人”と考えられていたからです。ええっ、じゃあ一体だれが救われるんだ!? …ガヤガヤと言い合う弟子たち。やがてペテロが言い始めました。「先生、私たちはすべてを捨てて、あなたに従ってまいりました」。イエスは答えられます。「神の国のためにすべてを捨てた者は、みな永遠のいのちを受けます。」
☆きょう、救いがこの家に来ました。(ルカ 19:9)
しばらくしてイエス一行は、エリコの町に立ち寄りました。ここでも一行は、大群衆に囲まれます。その様子を、人々から嫌われている取税人[1]でザアカイという男が、いちじく桑[2]の木の上から見ていました。彼は、イエスを見たかったのですが、背が低かった…。大群衆に埋もれないようにと、木登りを思いついたわけです。
するとちょうど木の下に来られたイエスが、ザアカイを見上げて声をかけました。「急いで降りて来なさい。今日はあなたの家に泊まるから」。えっ、初対面なのに…! ザアカイはびっくり。しかし、周りの人々はもっと驚愕しました。取税人の家に!? あの裏切り者の客になろうってのか!
ザアカイだけは大喜びです。すぐに自分の家にイエス一行を迎え入れました。そこで彼はイエスに宣言しました。
「主よ、わたしは誓って
自分の財産の半分を貧民に施します。
また、もしだれかから不正な取立てをしていましたら、
それを四倍にして返します」。(口語訳聖書 ルカ 19:8)
イエスは言われます。「今日、救いがこの家に来ました」
ザアカイが差し出したのは、財産の“半分”。“すべてを捨てる”とは「一文無しになれ」という意味ではなかったのです。まず、神さまの教えに素直に従いなさい。そして、誰かを助けるために自分の財産を使いなさい、ということです。私たちもそのようにして、神の国に入る日を楽しみに待ちましょう。
参考
[1] 嫌われ者の取税人とは?→ イエス・キリストの生涯 (20)取税人マタイの召命
城山キリスト教会 関根弘興師礼拝メッセージ@2018.8.12
[2] ザアカイが登ったいちじく桑だと伝えられる木がエリコの町に保存されています。実物かどうかはわかりませんが、いかにもちょこっと木登りして群衆の頭上から下を眺めるのに都合の良さそうな樹です。画像検索して、生徒たちに見せてあげたらいいと思います。
《[Zacchaeus Tree, Jericho](ザアカイ いちじく桑 エリコ)で画像検索》