(42) 三日目によみがえらねばならない

イエスの権威に満ちた教えと、驚くばかりのお力を間近で見続け、弟子たちはますます「この方こそ来たるべき王だ!」と確信していきました。しかし…

☆「あなたは、生ける神の御子キリストです。」(マタイ 16:16)

弟子たちと村々をめぐる途中、イエスは弟子たちに質問なさいました。
「人々は、私を誰だと言っていますか?」
弟子たちは口々に答えます。
バプテスマのヨハネだとか… いえ、偉大な預言者エリヤとか… エレミヤと言う人も… とにかく昔の預言者の一人が生き返ったと言ってます…。
イエスは改めてお聞きになりました。
「では、あなたがたは私を誰だと思いますか。」
ペテロが代表して答えます。
「あなたは、生ける神の御子キリストです。」

イエスはペテロにおっしゃいました。「あなたは幸いです。このことをあなたに示したのは、私の父なる神です。あなたは“岩”[1]です。私はこの岩の上に私の教会を建てます。私は、あなたに天の御国のかぎを上げます。何でもあなたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれ、あなたが地上で解くなら、それは天においても解かれています。[2]

この宣言は、後日確かに実現しました。しかしペテロが本当に“岩”として立つまでには、このあとさまざまな試練、挫折、過酷な訓練が必要だったのです。が、おそらく彼はこの時、師から与えられた名誉あるおことばで、頭がいっぱいになってしまったようです。

☆人の子は…殺され、そして三日目によみがえらねばならないのです。(ルカ 9:22)

三日目によみがえらねばならない
キリストの死と復活の予告(1)

そしてこのすぐあと、イエスはまさに信じられないようなことを話し出されました。

キリスト(救い主)である私は、エルサレムに行って、長老、祭司長、律法学者たちから多くの苦しみを受け、殺され、そして三日目によみがえらなければならない…

は!? へ? なに、なに!? …弟子たちはそりゃ混乱したことでしょう。ユダヤの新しき王が“殺される”ってなに!?

師から権威を授けられたと思ったペテロは、イエスをわきにお連れしていさめ始めます。
なんてことおっしゃるんですか! そんなことあなたに起こるはずがありませんっ!

イエスはそんなペテロを叱りつけます。
下がれ、サタン。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている…

ペテロの言葉が、師を敬愛する気持ちから出たものであることは、イエスもおわかりだったでしょう。でも、救い主としてのご自分のお仕事=殺されて、三日目によみがえることを妨げようとする力は、すべてサタンの働きです。

イエスは弟子たちの方を向いておっしゃいました。

「だれでもわたしについてきたいと思うなら、自分を捨て、
自分の十字架を負うて、わたしに従ってきなさい。
自分の命を救おうと思う者はそれを失い、
わたしのために自分の命を失う者は、それを見いだすであろう。」

(口語訳聖書 マタイ 16:24–25)

いつかは滅んでしまう身体の命を奪う者を恐れて、本当の命を手に入れ損なうことのないように。それを与えるのは神さまです。人の言うことではなく、神さまのお言葉に従いなさい。たとえ身体の命が失われても、魂の命が守られていれば、それに新しい体を着せていただけるのです。

参考

[1] 岩=ギリシャ語で「ペテロ」。実際にはこの時、イエスさまはペテロに、本名の「シモン(バルヨナ・シモン=ヨナの子シモン)」と呼びかけられています。「ペテロ」は、イエスさまがシモンにつけられたあだ名のようなものです。新約聖書はギリシャ語で書かれているので、イエスさまがアラム語で「ケパ/ケファ(岩)」とお呼びになったのを、「ペテロ」と訳したのかもしれません。
イエスが何語を話されたか?は、いまだ結論の出ていない問題ではあります。アラム語という説あり、ヘブル語という説あり。ギリシャ語を話された可能性も大いにあります。不明な点の解明は神学者に任せておいて、教会学校では、とにかくイエスさまは彼を「岩」と呼んだのだ…と印象づけたらよろしいのではないかと思います。イエスの弟子になってから、当分のあいだ、シモン・ペテロは全然“岩”じゃなかった。「不動の魂」「ブレないヤツ」なんてイメージの男ではまったくなかった。それでもイエスは言われた、「あなたは“岩”だ」。そしてシモン・ペテロはある日、本当に“岩”となった。

[2] 「わたしはまた、ダビデの家のかぎを彼の肩に置く。彼が開くと、閉じる者はなく、彼が閉じると、開く者はない。」(イザヤ書 22:22)

ぬりえ

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