(15) 役人の息子のいやし

ヨハネが捕えられた頃。サマリヤを通り過ぎて、イエスさまは、弟子たちとともにガリラヤ地方に戻られました。そこでイエスの伝道活動が始まったのです。

☆悔い改めて福音を信じなさい(マルコ 1:15)

イエスさまが住まわれたのは、ガリラヤ湖のほとりにあるカペナウムという町でした。

《二筆で描けるイスラエルの地図》

map-カペナウム
カペナウム(新共同訳表記ではカファルナウム)の位置

バプテスマのヨハネがいた荒野やヨルダン川岸にくらべると、カペナウムは大きな町です。[1]

《[Capernaum](カペナウム)で画像検索》

人口も多く、ユダヤ以外の国の人もおおぜい住んでいました。そこでイエスさまはおっしゃいました。「時が満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」…これは、旧約聖書でイザヤを通して語られた預言が成就するためでした。“異邦人のガリラヤは光栄を受けた”(イザヤ9:1)

このイエスを、ガリラヤの人々は大歓迎しました。みんな過越の祭りの時にはエルサレムに行っていましたから、その時にイエスさまが多くのしるしをなさったことをよく知っていたのです。評判は、あっという間に町中に広まりました。イエスは会堂で教え、皆にあがめられました。

☆あなたの息子は直っています(ヨハネ 4:50)

イエスさまがガリラヤに来られたことは、誰の耳にも入りました。その中には王室の役人もいました。王とは、“新しいユダヤの王”イエスの誕生を聞いて恐れ、亡き者にしようとしたヘロデ大王の息子アンテパスです。その王に仕えている役人が、イエスのもとにかけつけてきました。つかまえるために? いいえ、あるお願いをするために。

あなたの息子は直っています
必死に願う父親に イエスさまはこたえられた

彼には病気の息子がいたのです。病は重く、その死は間近でした。イエスという方は病をいやすことがおできになると聞き、いてもたってもいられずやってきたのでしょう。主よ、お願いです、どうか息子が死なないうちにお助けください!… すがりつく父親に、イエスは言われました。「帰って行きなさい。あなたの息子は直っています。」

彼はそのおことばを信じました。家に向かって帰って行くと、途中で家の使用人たちがやってくるのと出くわしました。彼らは口々に言います。「坊ちゃんが直りました!」[2]

そこで、彼は僕たちに、そのなおりはじめた時刻を尋ねてみたら、
「きのうの午後一時に熱が引きました」と答えた。
それは、イエスが「あなたのむすこは助かるのだ」と言われたのと
同じ時刻であったことを、この父は知って、
彼自身もその家族一同も信じた。

(口語訳聖書 ヨハネ 4:52–53)

もちろんこれは、イエスさまにお願いすればどんな病気も一発で直る!ということではありません。死なない体にしていただけるわけでもありません。どういう時にどういう人を直してくださるのかは、神さまがお決めになることで、人間にはわかりません。

でも聖書を読む限り、はっきりしていることがあります。イエスさまが“病のいやし”という奇蹟をなさる時は、そのいやしによって、病人本人だけでなく、それを目撃した人々を、神への信仰に導いておられるということです。

参考

[1] カペナウムは7世紀に廃墟となりましたが、その後遺跡が発掘されました。

[2] 私はこの人と同じ経験をしたことがあります。家庭集会に来ていた方の娘さんが、脳の急病で意識不明になってしまったのです。ダメかもしれない..と医師に言われたと、そのお母さんは泣きながら電話をしてきました。すぐに一人で祈り、2日後の家庭集会では、娘さんのために皆で一緒に祈りました。
すると翌日。お母さんからまた電話がかかってきました。「ありがとう! きのう突然、意識が戻りました。熱も下がって、後遺症も無いって!」
娘さんが目をさました時刻をたずねると、それはまさに、家庭集会で皆が祈りをささげていた時間でした。
集会のメンバーは、神の御力を共に讃えました。娘さんとご家族は、そろって教会に通われるようになりました。

ぬりえ

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