(10) カナの婚礼

ペテロとアンデレ、ピリポやナタナエルも連れてイエスさまはガリラヤに帰って行かれました。そしてカナという町で、弟子たちとともに結婚式に招かれたのです。

☆イエスはこのことを最初のしるしとして(ヨハネ 2:11)

当時のイスラエルの結婚式は、一週間もの間お祝いをしました。毎日おおぜいのお客さんをよぶのです。ごちそうもぶどう酒もたくさん用意されました。ところがこの結婚式で、ぶどう酒が足りなくなってしまいました。

ぶどう酒がなくなるというのは、婚礼の主催者である花婿の家にとっては、たいへん恥ずかしいことでした。それは「お客さまに対する非礼」とされていたのです。なくなったからと言って、ちょっとコンビニで買って来るというわけにはいかない時代。花婿や家族はあせったでしょうね。

その時、一緒に招かれていたイエスの母マリヤが、息子にこっそりとぶどう酒が足りないことを伝えました。花婿とイエスの一家は近い間柄で、マリヤは式を手伝っていたのかもしれません。するとイエスさまは、宴会の手伝いの人たちに奇妙なことをおっしゃいました。6つの水がめに「水を満たしなさい」。80〜120ℓくらい入る大きなかめです。手や道具を洗いきよめる儀式に使うものです。

《[stone jars, Jewish ceremonial washing, Cana](水がめ きよめのしきたり カナ)で画像検索 日本語ではあまり出てこないかもしれません…》

水をぶどう酒に
婚礼の手伝いの人に イエスさまは言われました

「さあ、その水をくんで、宴会の世話役のところに持って行きなさい。」手伝いの人がそのとおりにすると、なんとその水が、それまで出していたよりもずっと良い、世話役も驚くほど上等なぶどう酒に変わっていたのでした。

☆あの方が言われることを、何でも…(ヨハネ 2:5)

じつはこの時、母マリヤの言葉を聞いたイエスさまは、不思議な返事をなさっています。「あなたはわたしと何の関係があるでしょう。わたしの時はまだ来ていません」。確かにキリストの栄光が現されるべき時はまだずっと先でした。ここで奇蹟、つまり神の御子としての力を見せつけることを、主はお望みではなかったのでしょう。原文では、母の関心と自分の関心は違う…というふうに読み取れるそうです。

マリヤはイエスのその言葉を聞いてどうしたでしょうか? 困ったことが起きて、まず息子に相談したということは、きっとそれまでも同じようにしてきたのでしょう。そして息子は母の困難を助けてきたのかもしれません(この頃までにマリヤの夫ヨセフは亡くなっていたと思われます)。それがついに「自分の望みに応えてくれる息子」でなく、「違う存在」になっていくのだと彼女は察したようです。

マリヤは息子を指さすと、手伝いの人たちに言いました。

「このかたが、あなたがたに言いつけることは、なんでもして下さい」

(口語訳聖書 ヨハネ 2:5)

イエスが神の御子であることを誰よりもよく知り、その御力を信じていたマリヤ。イエスの指示に従って水をくんだ手伝いの人たち、そしてその場にいた弟子たちだけが、このイエスの最初の奇蹟(しるし)を目の当たりにすることができました。[1]

私たちは、いろいろな時にさまざまなことを神さまに望みます。それに対して「まだその時ではない」と答えられることも多くあります。それでも、神さまを信じ、心と体の準備を整えて、待ちかまえていましょう。イエスさまは、どんな奇蹟でもすぐに起こすことのできる方だからです。

参考

[1] 城山キリスト教会 関根弘興師礼拝メッセージ@2012.9.9

ぬりえ

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