旅先のベツレヘムにある家畜小屋で、マリヤは神の御子救い主であられる赤ちゃんを産みました。その偉大なできごとを最初に知らされたのは、意外な人々でした。
☆これが、あなたがたのためのしるしです(ルカ 2:12)
マリヤが出産したその夜、ベツレヘムからそれほど遠くないあたりで、羊飼いたちが羊の番をしながら野宿していました。
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羊飼いとは、羊の群れを世話する仕事です。羊には毎日たくさんの草と水を与えてやらねばならず、羊飼いたちはその2つを求めて、群れをあちこちに移動させるのです。そのまま夜になってしまうこともあったようです。
その羊飼いたちのところに、突然主の使いがやって来ました。彼らの回りを、主の栄光がまぶしく照らしました。あまりに凄まじい光景に、彼らはみなひどく恐れました。しかし、御使いは言いました。
恐がることはありません… 私は、すばらしい喜びを知らせに来たのです!
きょうダビデの町に、あなたがたのために救主がお生れになった。
このかたこそ主なるキリストである。あなたがたは、幼な子が
布にくるまって飼葉おけの中に寝かしてあるのを見るであろう。
それが、あなたがたに与えられるしるしである。(口語訳聖書 ルカ 2:11–12)
そして、その御使いといっしょに、多くの天の軍勢が現れたかと思うと、賛美の大合唱が響きました。栄光が、神にあるように! 平和が、御心にかなう人々にあるように!
御使いたちが天に帰ると、羊飼いたちは話し合いました。ダビデの町?ベツレヘムだ!さあ、主の知らせてくださったできごとを見てこよう!
彼らは急いで出発しました。きっと皆で手分けして、おなかの大きな女性を家畜小屋[1]に泊めなかったか?とでも聞き歩いたのでしょう。ほどなくして彼らは、飼葉おけに寝ておられる赤ちゃんを捜し当てました。
羊飼いたちは、もうだまってなどいられません。自分たちが御使いに告げられてやってきたこと、すべてお告げどおりだったことを、マリヤに、ヨセフに、町中の人にしゃべりまくりました。そして、神をあがめ、賛美しながら帰って行きました。
☆さあ、主をほめたたえよ(詩篇 134:1)
羊飼いが世話していた羊は、自分たちのものではなく、主人のもの。仕事としても大変蔑まれていて、羊飼いとは、貧しい地域の、そのまた一番下の階層の者でした[2]。それに、羊は弱い動物ですが、羊飼いは違います。常に武器を持ち歩き、羊を襲ってくるクマやオオカミをぶちのめすような荒っぽい人たちです。しかし神さまは、まず最初にそんな人々に救い主のご降誕を知らせてくださいました。彼らは神の御子が、金のゆりかごではなく、見慣れた飼葉おけに寝ておられるのを見て、どれほど驚き、喜んだでしょう。
彼らは、学問や知識のある人々ではありませんでした。でも、御使いのお告げを信じ、飛んで行って確認すると、神さまをほめたたえ、皆に証言してまわる人たちでした。神さまは、そのような人に祝福を与えてくださるのです。
「お約束くださったとおりだ! 神さま すごい! みんな! 神さまってすごいよー!!」です。
参考
[1] 日本では「馬小屋」と訳されてしまうことが多いですが、宿屋が馬を飼うことはありませんでした。馬は軍隊の乗り物であり、庶民はロバや牛を飼っていたのです。聖書でも、馬は戦闘の象徴、ろばは平和の象徴です。「馬小屋」という言葉のイメージに引きずられて馬を描き込んでしまわない方がいいと思います。
なお「小屋」とは書きましたが、実際には家屋のようなものではなく、山中の洞穴であったと考えられています。
[2] 城山キリスト教会 関根弘興師礼拝メッセージ@2011.12.18