イエスさまは、ナザレから、いま住んでおられるカペナウムに戻られました。カペナウムはガリラヤ湖の北西岸にあり、湖で魚をとる漁師が多く暮らしていました。
☆人間をとる漁師にしてあげよう(マタイ 4:19)
イエスさまの最初の弟子になったアンデレを覚えていますか? バプテスマのヨハネの弟子だったけれど、ヨハネに教えられてイエスの弟子になった人。
そして彼は、自分のお兄さんであるシモン・ペテロをイエスのもとに連れて来ました。
この兄弟はカペナウムの漁師でした。弟子にはなりましたが、仕事をやめたわけではなく、これまでどおり漁をして生活していたのです。
《[Galilee, fishermen](ガリラヤ 漁師)で画像検索》
ある時、イエスさまがガリラヤ湖のほとりを歩いておられると、この兄弟が湖で網を打っていました。イエスさまは二人をご覧になり、こう呼びかけられました。
「わたしについてきなさい。
あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう」(口語訳聖書 マタイ 4:19)
イエスの招きの声に、二人はすぐ網を捨てて従いました。二人の乗っていたのはシモン・ペテロの持ち舟でしたが、近くにはゼベダイという漁師の舟もありました[1]。ゼベダイも、息子二人と雇い人たちと共に漁をしていました。イエスは彼の二人の息子、ヤコブとヨハネもお呼びになりました。するとこの兄弟も舟に父親を残し、イエスについて行きました。
☆主よ。私のような者から離れてください。(ルカ 5:8)
4人はつまり、漁師の仕事を完全にやめて、「イエス・キリストの弟子」としての暮らしに入っていったわけです。この頃すでにペテロは結婚していました。ヤコブとヨハネには老いた父親がいました。雇い人がいるとは言え、息子二人ともが本業を手放すのは、大きな決断だったでしょう。それでも彼らは、迷うことなく、“すぐに”イエスに従ったとあります。[2]
じつはこの直前、4人は驚くべきできごとを体験していたのです。イエスがペテロの舟にのると、沖に出て漁をしなさいとおっしゃいました。漁をするのは夜中で、その日は夜通し働いても一匹もとれませんでした。しかも真っ昼間に漁をしろとは。大工さんは漁師の仕事を知らないな..とでもペテロは思ったかもしれません。しぶしぶという感じで、それでもおことばどおりにすると、なんと超大漁…! 自分の舟だけでは上げ切れず、ヤコブたちの舟も呼ぶと、二そうとも沈みそうになりながら、やっとのことで舟にいっぱいの魚を引き上げました。
[3] 《工作「おさかながいっぱい」》
彼らはそれまでにも、イエスの起こされた奇跡を何度か見たはず。でもこの時初めて、それが我が身に起こったのでした。ペテロはイエスの足もとにひれ伏して悔い改めました。「主よ。私のような罪深い者から離れてください!」
4人はこの時のできごとを、このあとおおぜいの人に話して聞かせたことでしょう。イエスさまのお力は凄い!と。「人間をとる漁師になる」とはそういうことです。イエスさまが自分にしてくださったことを誰かに伝える。伝えられた誰かが神さまのもとにやってくる。イエスさまのお招きに応えれば、私たちもまた人間をとる漁師にしていただけます。それは喜びに満ちた仕事です。大事なものを手放したように思えても、神さまはあとで何倍にもして報いてくださいます。
参考
[1] ハーベスト・タイム・ミニストリーズ「第45回聖地旅行特集(9) イエス時代の舟」
[2] 当時のユダヤでは大変な親不孝と言えます。ただ、ペテロの家もゼベダイの家も、持ち舟があり、何人かの漁師を抱えた網元だったようです。世帯主や跡継ぎの息子たちが家を離れても、残された親族の生活は維持できていたと考えられます。
[3] 工作用にお使いください。
「おさかながいっぱい」カラーバージョン
「おさかながいっぱい」ぬりえバージョン
1) 折り紙で魚をたくさん折る。→おりがみくらぶ
2) 網の部分に貼る。