(7) 士師記②「主の剣 ギデオンの剣」

デボラの時代が終わると、イスラエルの民はすぐまた神さまのことを忘れ、カナンの“バアル”=人間の作り出した、実は何もできないニセモノの神にまどわされはじめます。

☆私にどのようにしてイスラエルを救うことができましょう(士師記 6:15)

神に背を向ける人々を甘やかすようなことを、神さまは絶対なさいません。それは結局人間のためにならないからでしょう。イスラエルは、カナンのミデヤン人という強い部族に、さんざん痛めつけられるようになっていました。

民は追いつめられ、山奥でこそこそ暮らすしかありませんでした。そしてやっと、神さまのことを思い出しました。「ごめんなさい! 助けてください!」
民が神にすがりつけば、やっぱり神さまは助けてくださるのです。

御使いとギデオン
御使いの力にギデオンはおののいた… 彼はその場所に祭壇を築いた

主の使いが、敵から隠れるように小麦を打っていた若者ギデオンのところに遣わされて来て言いました。
「あなたがイスラエルを救い出しなさい。」
ギデオンはおろおろしてしまいます。私の部族は弱いし、私はまだ若いですしっっ…。彼には御使いの言葉がとても信じられません。すると御使いは、不思議な力を見せてくれました。ギデオンがさしあげたパンと肉を岩の上に置き、スープを注がせました。そこに杖を伸ばして触れると…。なんと岩から火が燃え上がり、びしょぬれの食物を焼き尽してしまったのです。

あまりの光景にギデオンはひれ伏しました。そして勇気を出し、命じられたとおり、自分の部族が拝んでいたニセモノの神の像を叩き壊したのでした。

《[Canaanite, baal](カナン人 バアル神)で画像検索》

☆『主のためだ。ギデオンのためだ』(士師記 7:18)

しかしギデオンは、ミデヤン軍と戦うことにはまだびくびくしています。そんな臆病な彼を、神さまは辛抱強く導いてくださいました。その後も御使いに不思議なしるしを見せられると、ギデオンはやっと自分がリーダーとされたことを信じ、3万人以上の兵を集めたのです。

ところが今度は神さまは「兵の数を減らせ」。なぜなら、人数の多さで勝ったら、民は「自分たちの力で勝った!」と思ってしまうから。

まずは「恐れている者を帰らせなさい」→二万二千人が帰り、一万人が残りました。
次に「泉で水を飲ませ、直接泉に口をつけて飲む者を帰らせなさい」→スキを見せぬよう、泉にかがみ込まず、手にすくって飲んだ三百人だけが残されました。

《[Spring of Harod](ハロデの泉)で画像検索》[1]

たった三百人… ギデオンは不安になります。ところがそんな彼を、神は敵の偵察に行かせました。敵陣のすぐ近くまで下りて息をひそめるギデオン。その耳に聞こえてきた敵兵の話は…
「俺たちがギデオンの剣に倒される夢を見た」
ええっ!? 敵の方がビビってたのか!?
そうです。神とともにある者には、神さまは人間には想像もできない方法で助けの手を伸べてくださるのです。

彼は神を崇め、ついに雄々しく立ち上がりました。三百人を三隊に分け、全員に角笛と、たいまつを隠したつぼを持たせました。いいか!真夜中に私が合図をしたら、敵を三方向から取り囲め!

《[Hill of Moreh](モレの丘)で画像検索》[2]

主の剣 ギデオンの剣
ギデオンと兵士たちは 一斉に叫び声を上げた

すなわち三組の者がラッパを吹き、つぼを打ち砕き、
左の手にはたいまつをとり、右の手にはラッパを持ってそれを吹き、
「主のためのつるぎ、ギデオンのためのつるぎ」と叫んだ。
そしておのおのその持ち場に立ち、敵陣を取り囲んだので、
敵軍はみな走り、大声をあげて逃げ去った。

(口語訳聖書 士師記 7:20–21)

おびえていた敵兵は、イスラエルの大軍に包囲されたと思い、パニックで同士討ちしながら逃げ去って行ったのでした。

参考

[1] ギデオンの軍隊は、ハロデの泉のそばに陣営を敷いていました。
[2] ミデヤン軍は、モレの山(丘)を越えた先の谷に宿営していました。ギデオンは300人を連れて、夜の間にそっと谷まで下り、いきなり爆音を鳴らしたというわけです。

ぬりえ

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