(25) 山上の説教②「新しい基準」

次にイエスさまは、ユダヤ人として生きてきた使徒たちが初めて聞くような、神の律法(決まり)に対する新しい考え方を教えてくださいました。

☆しかし、わたしはあなたがたに言います(マタイ 5:22,28, … 他)

山上の説教
次にイエスは 律法の新しい考え方を教えてくださった

天の国、神さまの御国に入るにはどうすれば良いのか、それまでユダヤの人々が聞かされてきたのは「形の問題」でした。ところがイエスさまは、それは「心の問題」だとおっしゃったのです。

大昔、神さまがモーセに与えられた律法は10個ありました。その10個をきっちり守っていれば、神の国に行ける! 民は一所懸命守っていましたが、そのうちむずかしい問題も出てきました。「一週間のうち一日は安息日。仕事をせず、神を礼拝する日としなさい」…って、どこまでが仕事なんだろう? ゴハンは食べなきゃならないけど、ゴハンのしたくをするのは仕事? 「父と母を敬え」って、どうするのが敬うことだ?…考えた祭司たちは、10個の律法の下に細かい決まりを作っていき、今やその数は何百にもなっていました。つまり神の国に入るには、その何百を全部守らなくてはならない!と、みなが思っていたのです。

兄弟に向かって腹を立てる者は
“実際に殺さなければ罪にならない”と考えるのは間違いです

ところがイエスはおっしゃいました。人を殺してはならない、という律法を聞いているでしょう? でも…

しかし、わたしはあなたがたに言う。
兄弟に対して怒る者は、
だれでも裁判を受けねばならない。
兄弟にむかって愚か者と言う者は、
議会に引きわたされるであろう。
また、ばか者と言う者は、
地獄の火に投げ込まれるであろう。

(口語訳聖書 マタイ 5:22)

人を憎んだり恨んだり、ひどい言葉で傷つけたりすることは、相手を殺すことと同じくらい重い罪であると教えられたのです。そんな気持ちを持っているなら、まず相手と仲直りをしなさい。それ から神さまの前に出なさい…と。

☆自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい(マタイ 5:44)

また、このような教えもありました。「目には目で、歯には歯で」[1]というのも聞いているでしょう。しかし、わたしはあなたがたに言います。「やられたら、やり返せ」という考え方はやめなさい。やられたら、そのあなたの敵のために祈りなさい。そして親切にしてあげなさい…

自分の敵を愛しなさい
攻撃されたときは お祈りを返しなさい

そもそも「目には目で」とは、復讐せよという意味ではなく、“他人の目を傷つけた者は自分の目で償う”という刑法(罰則)でした。人間は、自分がやられたら倍返しにしてやるっ!と怒り狂ってしまうものだから。私刑を防ぐための規定だったのです。ところがやっぱりおろかな人間たちは、いつのまにか「やり返せ」にしてしまっていました。

しかし「やり返せ」方式は、良い方法ではありません。倍返ししても、何十倍返ししても、喜びがやって来ない。なぜなら人が本当に望んでいるのは、敵をやっつけることではなく、相手が心から罪を悔い改めることだからです。でも、攻撃されながら反省する人なんて、いませんよね。この人は私を愛してくれる、助けてくれる人だ… この人を痛めつけるなんて、バカだ自分…と知って悔やむのです。そのことをまず理解する。そしてイエスさまのお力を借りる。やってみる。だんだんうまくできるようになります。

参考

[1] 出エジプト記 21:24、レビ記 24:20、申命記 19:21

ぬりえ

シェアする