最近は子供の数が少なく、小学校や幼稚園などは別として、教会学校では人数不足で降誕劇を成立させにくいという話を耳にしました。そこで、どれほど少人数でもページェントに仕上げられる方法を考えてみました。
朗読劇であれば、一人の子供が複数の役を担当することができます。もしも生徒が一人しかいない場合は、対話が必要な場面では教師が相手役をしてください。
教師は、PC(パワーポイント等)操作/伴奏(あるいは音響操作)/ナレーター を担当します。舞台上方に画像を映写し、生徒は壇上でセリフを朗読、または歌います。朗読なのでシナリオや譜面を持つことができますが、見るためにうつむいてしまわないよう指導してください。画像が見えにくくならない程度に、朗読者にスポットを当てるといいかもしれません。歌唱は、生徒だけで成立させにくいようなら、教師が手伝ってもかまわないと思います。
セリフは、子供の年齢に合わせてアレンジしてください。3歳くらいの幼児なら、羊飼いの役になって「さあ、ベツレヘムに行こう!」というように。
また、挿入してある賛美歌等の楽曲は一例です。ご自由に差し替えてください。ヨセフの歌がなかなかないので、オリジナルのものをひとつ入れておきました。
可能なら、衣装を用意してあげてください。衣装の色をイラストと合わせなくてはならないという問題は出てくるかもしれませんが。ちなみにイラストでは、マリヤの服は西洋の聖画における「聖なる色」で描かれています(赤と青)。ヨセフは、マリヤと並んだ時にクリスマスカラーに見えるよう緑にしました。ヘロデ王と博士たちは、高貴な色である紫がベースになっています。対して羊飼いたちはモノトーンに近い色合いにしてあります。
なお、人数が揃うなら、同じ台本で普通に降誕劇にすることも可能です。衣装制作について検索していらっしゃる方が多いので、型紙見本を作成しました。ご利用ください。
降誕劇(ページェント)衣装用型紙
朗読劇台本
♪讃美歌94「久しく待ちにし」1番
ナレーター:今からおよそ二千年前。イスラエルのナザレという町に、ひとりの少女が住んでいた。名前はマリヤ。大工のヨセフと婚約していた。
(間)ある時マリヤのところに、神さまから遣わされた御使いガブリエルがやって来た。
♪讃美歌第二編218「おはようマリヤ」(ガブリエル&マリヤ歌唱)
(↓セリフにする場合は)
ガブリエル:おめでとう、マリヤ。こわがることはない。あなたは神の恵みを受け、みごもって男の子を産みます。その子はいと高き神の御子、永遠にこの国を治めるでしょう。
マリヤ:どうしてそのようなことがおこるでしょう。私はまだ結婚しておりませんのに。
ガブリエル:聖霊があなたの上に臨まれるからです。神さまにおできにならないことは一つもありません。
マリヤ:私は神さまのしもべです。あなたのおことばどおりこの身になりますように。
ナレーター:マリヤの返事を聞くと、御使いは去って行った。
ナレーター:婚約者のヨセフは、ダビデの家系で、貧しくはあったが、正しい人だった。まだ結婚する前にマリヤがみごもったことを知り、彼は悩んだ。
ヨセフ:マリヤを訴えてさらし者にしたくはない。騒がずに、そっと婚約を取り消すことにしよう…。
ナレーター:しかしその夜、御使いガブリエルが、彼の夢にあらわれた。
♪アトリエ Trinity オリジナル「ダビデの子ヨセフ」(ガブリエル歌唱)
「ダビデの子ヨセフ」楽譜
(↓セリフにする場合は)
ガブリエル:ダビデの子ヨセフ。恐れずにマリヤを迎え入れなさい。その胎に宿った子は聖霊によるものです。その名をイエスとつけなさい。この方こそ、民を罪から救ってくださる方です。
ナレーター:ヨセフは眠りからさめると、御使いに命じられたとおり、マリヤと結婚した。
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ナレーター:そのころ、全世界の住民登録をせよというおふれがローマ皇帝から出された。人々はみな、それぞれ自分の町に向かって行かなければならない。ヨセフも、おなかの大きいマリヤを連れて、ダビデの町ベツレヘムに上って行った。
ナレーター:ベツレヘムは、住民登録のために旅をして来た人々でいっぱい。宿屋はどこも満員で、ヨセフとマリヤは泊まることができなかった。ヨセフは、ロバや羊のいる家畜小屋になんとか居場所を見つけた。
ヨセフ:もうすぐ赤ちゃんが生まれそうだというのに…。
ナレーター:そこで、マリヤは月が満ち、男の子を産んだ。ふたりは幼子を布にくるみ、飼葉おけに寝かせた。
♪讃美歌第二編114「うまやのなかに」1番
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ナレーター:さてその近くでは、羊飼いたちが野宿しながら羊の群れを見守っていた。すると御使いがやって来て、主の栄光があたりを照らした。
♪ピカッ!きらきらりーん・:*:・゚`☆ のBGM
ガブリエル:恐れることはありません。私は喜びを知らせに来たのです。きょうダビデの町で、あなたがたのために、救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。あなたがたは、布にくるまって飼葉おけに寝ておられる幼子を見つけるでしょう。これが、あなたがたのためのしるしです。
ナレーター:すると、たちまち、その御使いといっしょに、多くの天の軍勢が現われ、神を賛美した。
♪讃美歌98「あめにはさかえ」1番
ナレーター:御使いたちが天に帰ると、羊飼いたちは話し合った。
羊飼いA:ダビデの町… ベツレヘムだ!
羊飼いB:行こう! 主が知らせてくださった出来事を見て来よう!
♪讃美歌106「あら野のはてに」2番
ナレーター:そして急いで行って、マリヤとヨセフと、飼葉おけに寝ておられる幼子とを捜し当てた。
ナレーター:羊飼いたちは、見聞きしたことが、全部御使いの話のとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。それを聞いた人たちはみな、羊飼いの話したことに驚いた。
♪讃美歌103「まきびとひつじを」1番
ナレーター:ヨセフとマリヤはお告げどおり、幼子にイエスと名付けた。
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ナレーター:それからしばらくたったころ。
ナレーター:ユダヤの東の国から、きらびやかな博士たちの一団がエルサレムに到着した。彼らはヘロデの王宮に入ってくるとこう言った。
博士A:ユダヤ人の王としてお生まれになった方はどこにおいでになりますか。
博士B:私たちは、東のほうでその方の星を見たので、拝みにまいりました。
ナレーター:ヘロデ王も、エルサレム中の人も、たいへん驚いた。王が学者たちに調べさせると、キリストはベツレヘムで生まれると預言されていると言う。ヘロデは「新しいユダヤ人の王」を見つけて殺してしまおうと考え、博士たちをベツレヘムに送り出すことにした。
♪緊迫感のあるBGM
ヘロデ:新しい王を見つけたら、私にも知らせてほしい。私も拝みに行くから。(邪悪な感じで)
ナレーター:博士たちは出かけて行った。すると、東の国で見た星が彼らを導くように進んだ。
♪讃美歌第二編52「われらはきたりぬ」1番
ナレーター:星は幼子のおられる所まで進み、その上にとどまった。
博士C:おお! あそこのようです。王のおいでになる家は。
ナレーター:彼らは喜んで家に入っていった。
博士A:われらは東の国からまいりました。この黄金をおささげいたします。
博士B:あなたの星に導かれて辿り着きました。乳香をおささげいたします。
博士C:そして没薬をおささげいたします。どうぞお受け取りください。
博士たち:新しき王よ! イエス君よ!
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(↑ここまでで終了する場合は)
ナレーター:救い主イエスさまのお誕生の知らせは、最初は貧しい羊飼いたちに、そして外国人の博士たちにもたらされました。それから長い時間をかけ、この日本にも伝えられてきたのです。皆さま、この良き知らせをともに喜び、賛美いたしましょう。
ふたたび「聖家族」のイラストを映し…
舞台に全キャストが登場して、観客もともに降誕の讃美歌(初めての来会者でも知っている「きよしこの夜」や「もろびとこぞりて」などが良いのでは)を歌う。最後の1曲だけ「アーメン」をつけるとエンディングの感じが出ると思います。
朗読者たちが舞台に整列し、おじぎをして… 《完》
(↑これを忘れないこと! 忘れると観客が拍手のしどころがわからなくなる)
(↓もう少し先まで演るなら…)
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ナレーター:博士たちが帰って行こうとすると、夢に御使いがあらわれ、ヘロデのところへは戻るなという戒めを告げた。博士たちは、別の道を通って自分の国へ帰って行った。
(間)そしてその夜。
(暗転)御使いはふたたびヨセフの夢に現われた。
ガブリエル:ヨセフよ。イエスとマリヤを連れ、エジプトへ逃げなさい。そして、私が知らせるまで、そこにいなさい。ヘロデがこの子を捜し出して殺そうとしています。(緊迫感)
ナレーター:ヨセフは飛び起きると、夜の明けぬうちに二人を連れてエジプトに向かった。
♪緊迫感のあるBGM
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(暗転〜充分な間)
ナレーター:そののち、エジプトでも、御使いは夢でヨセフに現れた。
ガブリエル:この子をねらっていた者たちはもういない。さあ、イスラエルに、ナザレの町に戻りなさい。(安心感)
ナレーター:ヨセフはそのお告げどおり、イエスとマリヤとともにナザレに帰ってきた。
♪讃美歌121「馬槽のなかに」1番
ナレーター:大工の息子として、イエスはたくましく成長していった。知恵に満ち、背たけも大きくなり、神と人とに愛された。(ゆったりと)
もう一度「聖家族」を映し、
♪讃美歌121「馬槽のなかに」4番
あるいは、
♪讃美歌109「きよしこの夜」 など
最後の1曲だけ「アーメン」をつけるとエンディングの感じが出ると思います。
朗読者たちが舞台に整列し、おじぎをして… 《完》
(↑忘れちゃダメ! 拍手のしどころ、記念写真の撮りどころ!)