(74) カヤパによる裁判

ゲツセマネの園でイエスを逮捕したローマ兵やユダヤの役人たちは、イエスを裁判にかけるため、園から2㎞ほどの距離にある大祭司の官邸に連行して行きました。

☆なぜ、わたしを打つのですか。(ヨハネ 18:23)

その当時の大祭司はカヤパでしたが、大集団はまず彼の舅であるアンナスのところに向かいました。ローマ帝国に支配されるようになってからは、大祭司はローマやユダヤ王ヘロデによって任命されたり退位させられたりしていたのですが、ユダヤ人にとっては「大祭司は終生大祭司」です。しかもアンナスの家系は、五人の息子も娘婿も次々と大祭司に任ぜられている。大変な権力を持った家の最長老格です。礼儀としても最初に「アンナス様に会わせよう」と引っ立てていったのでしょう。

アンナスはイエスに、その教えや弟子たちのことについて問いただしました。しかしイエスのお答えは…「なぜわたしに聞くのです」。わたしは今まで一度も隠れて話したことはない。神殿や会堂で公然と大勢の人々に教えてきました。彼らに聞けばすべてわかるでしょう…

その答えに、そばで聞いていた下役の一人が腹を立てました。いきなりイエスを平手打ちしたのです。大祭司に向かって何という口の聞き方だっ!…が、それに対してイエスは全くひるまずこうおっしゃいました。「わたしの言ったことが悪いのなら、悪いという証拠を見せなさい。正しいのなら、なぜわたしを打つのですか。」

イエスの抗議は本当に正しい。当時の裁判の規則によれば、有罪の証拠を示さなければならないのは嫌疑をかける側であって、被疑者の方が無罪を立証するために弁明する義務は無かったのです。無罪かもしれない人に暴行したなら律法違反です。犯罪者扱いされても、権威に満ち、どこまでも正当なイエスから、アンナスは裁判を有利に進めるための情報を結局何も引き出せませんでした。

☆わたしが、それです。(マルコ 14:62)

Christ Before Caiaphas(カヤパの前に立つキリスト)
[1]「Christ Before Caiaphas(early 1630s)」Matthias Stom

アンナスが尋問している間に、カヤパは議会を招集していたようです。議会(サンへドリン)は、祭司や律法学者、長老たちで構成されていて、ローマ支配下のユダヤでは最高の裁判権を持っていました。イエスは縛られたまま、今度は議会の前に引き出されました。議長であるカヤパも議員たちも、皆イエスを死刑にするために必死です。ウソでもいい、有罪にできる証言をする者=イエスは神を冒涜した!という証人を二人見つけなくてはなりません。が、そもそもイエスが“神を冒涜した”ことがあるはずはないのですから、うまくいきません。証人をどれだけ呼んでも、その中のたった二人の証言が一致しないのです。

その間、何を言われても無言のイエスにイラ立ったカヤパが詰め寄りました。神によって命じる! あなたはキリストなのか! 答えなさい!! …イエスは口を開かれました。「エゴー・エイミ」 わたしは、それです。そして続けて、

「あなたがたは人の子が力ある者の右に座し、
天の雲に乗って来るのを見るであろう」

(口語訳聖書 マルコ 14:62)

自分は天からやって来た、神と同じ権威を持つ者である。それを聞くとカヤパは怒り狂って宣言しました。皆も聞いたか!? 神をけがすことばを! われわれ皆が証人であるっ!! 議員たちが答えます。イエスは死罪だ、死刑に当たる!

その途端、その場にいた役人たちが、イエスを嘲笑い、ツバをかけたり殴りつけたりした…とあります。イエスは黙って、身を任せられました。その時、聖書に記されていた預言(イザヤ 50:6)がまた一つ成就したのでした。

参考

立川福音自由教会 高橋秀典師礼拝メッセージ@2017.4.9

[1] 「聖画を用いる」

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