(23) 十二使徒を選ぶ

民衆は熱狂してイエスのあとを追いました。が、イエスはその騒ぎの中でも、高ぶられることもなく、一人で祈る時間を作りながら、神さまの働きをしてゆかれました。

☆イエスは…、神に祈りながら夜を明かされた。(ルカ 6:12)

イエスは国中から押し寄せてくる群衆を教え、彼らの病をいやされました。おおぜいにすがりつかれると、話をすることもできなくなってしまいます。なので、ガリラヤ湖に小舟を用意させ、弟子たちとともに少しこぎ出して、舟の上から陸にいる人々に語ったりしました。ガリラヤ湖はすり鉢状の地形の底にあり、昼間は湖から陸に向かって風が吹くので、ちょうどアリーナからスタンドに向けて声が届くような感じになりました。

ガリラヤ湖の夜明け
現代のガリラヤ湖(撮影@2000年5月)

人々は興奮し、「イエスさまあぁ〜!」だの「神の御子よ!!」だのと叫ぶ者もいたようです。しかしイエスは、その喝采を喜ぶどころか、彼らをきびしく戒められました。イエスが人間に望んでおられるのは、「病気が治った〜!」と小躍りすることではなく、神との平和な関係に入ることだったからです。

そしてご自身は、お働きのあとは必ず神と語り合う、祈りのひとときを持たれました。イエスがそのようになさったのですから、私たちもマネをするのがいいのです。毎日1回は、一人になって神さまとお話ししましょう。

《[Jesus, pray](イエスさま 祈り)で画像検索 残念なことではありますが、英語で検索することをおすすめします…》

☆イエスを裏切ったイスカリオテ・ユダである(マタイ 10:4)

その日もイエスは群衆を教えられたあと、山に登り、一晩中お祈りなさいました。夜が明けると弟子たちの中から12人を呼び、使徒として任命されました[1]。使徒とは、“弟子たちのリーダー”のような立場です。この後、イエスはこの12人をいつもそばに置かれました。彼らにもご自分と同じように人々を教え、いやす働きをさせるためでした。

十二使徒の名は、次のとおりである。
まずペテロと呼ばれたシモンとその兄弟アンデレ、
それからゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネ、
ピリポとバルトロマイ、トマスと取税人マタイ、
アルパヨの子ヤコブとタダイ、熱心党のシモンと
イスカリオテのユダ。このユダはイエスを裏切った者である。

(口語訳聖書 マタイ 10:2–4)

イエスは使徒として十二人をお選びになった

どの人も、あまりリーダー向きのようには思えません。律法の高等教育を受けていない漁師。嫌われ者の取税人[2]。熱心党員=独立運動家[3]。神さまは「知識のある者でなく、自分のような者でも神の国に入れる!ということを心から喜べる者を選びなさい」とイエスにおっしゃったのかも。

この中で一人タイプが違うのが、のちにイエスを裏切ることになるイスカリオテのユダです。彼だけが、人々から田舎者と言われていたガリラヤの人でなく、伝統のある町の出身です。組織の経理もまかされる有能な人物でした。その彼は3年後、イエスを敵に売ってしまいます。

ユダも含め、なぜこの人たちを使徒に選ばれたのか、本当のところは神さまにお聞きしないとわかりません。イエスを売ったのはユダですが、他の使徒たちもイエスの処刑を見て、全員逃げ出してしまうという大失敗をしています。しかし、福音が世界中に広まっていったのも、確かに彼らの活躍によったのです。私たちも、神さまからお仕事をまかされています。なんで私を!?と思うこともあるけれど、神さまはあなたをも、きっと活躍させてくださるんですよ。

参考

[1] 12人の中には、他の名前で呼ばれている人もいます。
「バルトロマイ」は、ピリポに連れられてイエスのもとにやってきた「ナタナエル」(ヨハネ 1:44–50)と同一人物のようです。
「取税人マタイ」は「アルパヨの子レビ」(マルコ 2:14)とも呼ばれています。「アルパヨの子ヤコブ」と兄弟かもしれません。
「タダイ」は、ルカの福音書(6:16)では「ヤコブの子ユダ」(“子”ではなく“兄弟”と訳す説もあり)となっています。
「ペテロ」は「バルヨナ・シモン」の別名ですし、「トマス」(アラム語)も「デドモ(ギリシャ語)と呼ばれ」ていたり、まったく混乱させられます(^_^; 創作ならこのへんはちゃんと校正してくれるものですが、聖書はそうはできていないんですね。教会学校では、生徒の年齢に合わせて呼び名を使い分けていくしかないと思います。

[2] 嫌われ者の取税人とは?→ イエス・キリストの生涯 (20)取税人マタイの召命

[3] 「熱心党員」というのは、文字通り「独立活動グループ熱心党の構成員」だったとする説と、単に「熱心な性格だった」(“当時まだ熱心党というものは組織化されていなかった”とする説があるため)という考えと、二通りあるそうです。
ブリッジス・フォー・ピース・ジャパン 〜知る・学ぶ〜ティーチングレター〜バックナンバー「イエスと熱狂党」Part-1/Part-2

立川福音自由教会 高橋秀典師礼拝メッセージ@2011.5.22
ハーベスト・タイム・ミニストリーズ「イエスの生涯から学ぶ〜ルカの福音書4」

ぬりえ

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