劇台本『タラントのたとえ』

キャスト

  • ナレーター 主人 しもべ一太郎 しもべ二太郎 しもべ五太郎 問屋 客4人
  • 小道具

  • タラント15枚
  • 主人の衣装と荷物
  • しもべの衣装×3着
  • バナナ3本×4房
  • 服2着
  • 針と糸
  • ハサミ
  • 黒い布
  • 段ボール箱×3
  • テーブル
  • イス
  • 聖書
  • タラント
    タラント

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    ナレーター、聖書を持って登場。

    ナレーター「新約聖書マタイの福音書25章。天の御国とは。しもべ=召し使いたちに財産を預け、旅に出て行く主人のようなものです。」

    ナレーター、はける。
    入れ替わりに主人と3人のしもべ、登場。

    主 人  「留守のあいだ、財産の管理をまかせたぞ。しもべ一太郎、おまえには1タラントを預ける。1枚(手渡す)。しもべ二太郎、おまえには2タラントを預ける。1、2。しもべ五太郎、おまえには5タラントを預ける。1、2、3、4、5。では行ってくる。しっかりな!」

    しもべたち、おじぎして見送る。
    主人、はける。入れ替わりに問屋が丸テーブルに段ボール箱を3つ乗せて舞台端に登場。

    ナレーター「おや、しもべ五太郎が卸問屋に何かを仕入れに行きましたよ。5タラントを払っています。」

    五太郎、問屋に1、2、3、4、5と金貨を支払い、段ボール箱をひとつ抱えて戻る。

    ナレーター「あれ、今度は二太郎も何かを仕入れに行きました。2タラントを払っています。」

    二太郎、問屋に1、2と金貨を支払い、もうひとつの段ボール箱を抱えて戻る。

    ナレーター「おお、一太郎も何か仕入れに行くのかな?…と思ったら。げげ!? う、うめちゃったよお金を!」

    一太郎、めんどくさそうな様子で金貨を地面に埋めてしまう(黒い布の下に隠す)。だら~んと寝転がる。

    五太郎、舞台中央にテーブルを動かし、持って来た段ボール箱から布(服)と道具を取り出して服に仕立てる。

    五 太 郎「すてきな洋服はいかが。ハンドメイドの一点もの! 1着なんと5タラント!」

    2人の客がやってきて、1着ずつ購入。五太郎は10タラントを持って、元の位置に戻り、座る。

    ナレーター「あっという間に売り切れてしまいましたね。おっ、今度は二太郎が仕事を始めましたよ。」

    入れ替わりに二太郎がやってきて、テーブルの上で段ボール箱からバナナを出し、その上で叩き売り。

    二 太 郎「あま~いあま~いバナナだよ~! 栄養たっぷりバナナだよ~! 1房なんと1タラント!」

    2人の客がやってきて、2房ずつ購入。二太郎は4タラントを持って、元の位置に戻り、座る。

    ナレーター「こちらもあっという間に売り切れですよ…。(間) おやっ、ご主人が帰ってきたようです!」

    主人、登場。

    主 人  「ただいま! みんな、どうだったかな?」

    五 太 郎「ご主人さま。私は5タラントを10タラントにいたしました。」

    主 人  「よしっ、よくやった。うれしいぞ。これからはもっとたくさんのものをまかせよう!」

    二 太 郎「ご主人さま。私は2タラントを4タラントにいたしました。」

    主 人  「よしっ、おまえもよくやった。これからはもっとたくさんのものをまかせよう!」

    一太郎、タラントを掘り出して…

    一 太 郎「ご主人さま。もしも失敗して財産を減らしてしまったら、あなたに怒られるので、このタラントは地面に埋めてかくしておきました。はいどうぞ。」

    主 人  「むかっ。せめて銀行に預けておけば利息がついたのにな! もういい! おまえにはまかせられん! 二太郎、一太郎のタラントを取り上げて、五太郎にやりなさいっっ。」

    二太郎、一太郎のタラントをぴしっと取り上げて、五太郎に渡す。

    一 太 郎「あ~れ~~~~…」

    (間)
    ナレーター、聖書を持って登場。

    [1]「だれでも持っている者は、与えられて豊かになり、持たない者は、持っているものまでも取り上げられるのです。マタイ25章29節。
    タラントというのは、英語で言うと talent=才能のことです。私たちはみな、この世に生まれてくる時に、神さまから贈り物=才能をいただいて来ています。たくさん持たされて来ている人もいるし、1つや2つという人もいる。数はあまり問題ではありません。1つで充分な人には1つというだけで。ただ、ゼロという人はいないね。このタラントは、「もらいました~ありがとう」としまっておいていいものではありません。それを使って、だれかを助ける仕事をしなさい、と預けられているのです。

    神さまの贈り物というのは不思議なもので、使えば使うほど、減るどころか増えていきます。磨かれてもいって、どんどん上等にもなっていきます。人のためにガンガン使っていくと、自分もガンガン恵まれていくのです。

    今のお芝居では、二太郎には商売=ビジネスの才能、五太郎にはクリエイター=何かを作り出す才能がありました。自分にどういう才能があるかを発見するのはちょっとむずかしいね。大人でも、しもべ一太郎みたいにうまく自分の才能を使えない人がいるくらいです。ここで私が、自分で自分の才能を見つけるいい方法を教えましょう。みんな、だれかに自分の何かをほめられることがあるはずです。字がキレイだね、とか。踊りがうまいね、とか。そういう“目に見えるもの”ばかりじゃない。○○ちゃんて、知らない子とでもすぐ仲良くなれるよね、とかいう時もある。そうしたら、その言葉を覚えておいてください。同じようなことを、3人の人に言われたら、それがあなたの才能=タラントです。コツは、ほめられたら、「お? ちゃんと覚えておこう」と意識すること。なぜなら人間は、“才能がある”分野は、自分ではものすごく簡単にやっているからです。簡単どころか「やってると楽しくて楽しくてしかたない」くらいだったりする。ほめられても、「へ? なんでこんなことで??」とスルーしちゃったりしがち! でも、その才能が無い人にとっては、それは「むずかしくて苦しくてしかたない」ものなんです。だから、ちゃんと意識して覚えておくようにしましょう。

    いいですか。神さまがあなたに預けてくださったタラントは、ガンガン使うんですよ。だれかの役に立つように使うんですよ。そうすれば、ドカンと2倍になって返ってくる。これを頑張ると天の御国で神さまに「よくやった!」とほめていただけるようですが、いえいえ、この世にいる間にも、素晴らしい喜びが味わえますよ。」

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    詳細

    [1] このナレーターのメッセージは、タラントのたとえの時に私がよく使うものです。この部分は、それぞれの教会の解釈やスタンスに合わせ、ご自由にお考えください。

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