戸のぴっちり閉められた部屋にいた弟子たちの前に突然現れてくださったイエスさま。そのよみがえりのお姿を、イエスさまはもう一度現されました。
☆舟の右側に網を打ちなさい。(ヨハネ 21:6)
《[Galilee, fishermen](ガリラヤ 漁師)で画像検索》
それはガリラヤ湖(当時の名称はティベリア湖)の湖畔でのことでした。11人の弟子全員ではありませんでしたが、少なくとも7人はいたようです。ペテロ、ヤコブとヨハネ兄弟、トマス、ナタナエル、あと二人。漁師であるペテロが「漁に行くよ」と言って小舟を出すと、他の弟子たちもついてきました。ガリラヤ湖で漁に出るのは、夜中です。が、夜明けまでがんばっても、一匹もとれませんでした。
夜が明ける頃、岸辺に人影が見えました。その人が弟子たちに呼びかけてきました。「食べ物がありませんねえ」… 彼らが「はい、ありません」と答えると… 「では舟の右側に網をおろしてみなさい。魚がとれます」。これだけやってもとれなかったのに…と思ったかもしれませんが、なぜか彼らは言われたとおり船の右側に網を打ちました。すると、なんと、大漁…! 重すぎて網が上げられない!
この時、ある弟子がペテロに言いました。「あれは主ですっ!」 …そう。前にもこんなことがあった。あの時自分たちは、魚でなく「人間をとる漁師」になったんだった…![1] ペテロは思わず湖に飛び込み、岸まで全速力で泳ぎ始めました。ほかの弟子たちは、重い魚の網を引きながら、船でついて行きました。
☆「あなたはわたしを愛していますか」(ヨハネ 21:16)
《[The Church of the Primacy of Saint Peter, statue](聖ペテロの召命教会 イエスとペテロの像)で画像検索
彼らが岸までたどり着くと、そこには炭火がおこしてあり、その上でおいしそうに魚が焼けていました。パンもあります。主イエスが自ら用意してくださっていたのです。イエスに言われて弟子たちが網を引き上げると、百五十三匹の大きな魚でいっぱいでした。「さあ、何匹か持って来て、朝の食事をしなさい。」
食事がすむと、イエスはペテロにおっしゃいました。「あなたはわたしを愛しますか。」ペテロは答えます。「はい。私があなたを愛することは、あなたがご存じです。」…ペテロの返事を聞き、イエスはこう言われました。「わたしの小羊を飼いなさい。」
…そして再び「シモン。あなたはわたしを愛しますか。」「はい。私があなたを愛することは、あなたがご存じです。」…答えるペテロにイエスはまた、「わたしの羊を牧しなさい。」
…そして三度め。「ヨハネの子シモン。あなたはわたしを愛しますか。」…三度もたずねられて、ペテロは悲しくなりました。主を見捨てて逃げ出した自分。愛しています!と堂々と言えなくなっている自分。それでも主を愛する気持ちはウソではないのです。「主よ。あなたはいっさいのことをご存じです。あなたは、私があなたを愛することを知っておいでになります。」
やはりイエスはおっしゃいます。
「わたしの羊を養いなさい。」
(口語訳聖書 ヨハネ 21:17)
逮捕された主を、三度も「知らない」と言ってしまったペテロに、三度「愛しています」と言葉にさせることで、ペテロの心をいやし、赦してくださったのです。その上でペテロに、改めて使命を授けられました。これからは、わたしが今までやってきたことを、あなたがやって行きなさい…。主のためなら命も捨てる!と力んでいたペテロは、自分の弱さ、本当の姿を思い知った今こそ、自分の使命を正しく理解できるようになったのでした。