(6) ヨシュア記

モーセは亡くなりました。今度はヨシュアが民を率いて行きます。約束の地カナンはヨルダン川の向こう。橋はなく、船を持たない民が、どうやって渡れるでしょうか。

☆あなたが私たちに命じたことは、何でも行います。(ヨシュア記 1:16)

神さまに言われていたとおり、荒野で暮らした40年の間に、民は代替わりしていました。モーセと共にエジプトを出た人々のうち、生き残っていたのは二人だけ。神の命令に従おうと主張したカレブとヨシュアだけでした。モーセに文句を言い、敵の強さにおびえて泣きわめいていた人々はいなくなり、その子どもたちの世代になっていました。

上の世代の失敗に習い、次の世代の者たちは“神と指導者に聞き従う”ことの大切さを学んだようです。誰もが神さまのお力を信じ、ヨシュアと共に立ち上がっていました。そしてついに神はヨシュアに告げました。カナンに向かえ!と。

ヨルダン渡渉
祭司の足が水に浸ると 流れはせきとめられた

ヨシュアは神に命じられたとおりに民を動かしました。祭司たちに契約の箱[1]をかつがせる。箱を先頭にしてヨルダンの川岸に向かう。いいか、そうしたらその川の中に、歩き出すのだ。なぜならば…

「全地の主なる神の箱をかく祭司たちの足の裏が、
ヨルダンの水の中に踏みとどまる時、
ヨルダンの水は流れをせきとめられ、
上から流れくだる水はとどまって、うず高くなるであろう」

(ヨシュア記 3:13)

この季節は、川の水量がとても多い[2]のです。しかし、祭司も民も、迷うことなくその命令に従って歩み始めました。先頭の祭司たちの足が水に浸ったとたん、上流の方で流れがせきとめられ、本当に川は干上がってしまいました。祭司たちがそこに立っている間、流れが戻ることはなく、民は全員無事に対岸まで歩いて渡ったのでした。[3]

ヨシュアはこの時、十二部族から一人ずつ選び出し、祭司たちの立っていた場所から石をひとつずつ取って来させ、その十二個の石を対岸の宿営地に据えました。この奇蹟を記念するために。いつまでも忘れず、子孫に伝え続けるためにです。

☆強くあれ。雄々しくあれ。(ヨシュア記 1:6)

実はヨシュアは、この3日ほど前、モーセが昔カレブと自分を斥候に出したように、若い者二人に対岸のエリコの町を探らせていました。その二人は、びっくり情報を持ち帰ってきました。カナンの人々は、みなイスラエルの強さにビビっていると言うのです。イスラエルを守る神は凄い。海の水をからしたそうだ。とても勝てるはずがない。どんな恐ろしい目に遭わされるかわからない…

実際この情報をくれたのは、あるエリコの女なのですが、「自分と親族だけは助けて」という条件で、スパイである二人をかくまってくれたのです。つまり味方を裏切りでもしないことには助かる道無しと考えるほど、イスラエルを恐れ、おののいていたというわけです。

長い間民があんなにカナンを恐がっていたのは、なんと無意味なことだったでしょう。神さまは私たちにも言っておられます。強くあれ。恐れるな。私は必ずあなたとともにいるから! 恐くなった時は、このおことばを思い出しましょう。そして神の箱“聖書”を先頭にして進みましょう。

参考

[1] 「あかしの箱」
[2] 季節は春で、雪解け水により、川は増水していました。
[3] 1927年に同じ現象が起きた記録が残っているようです。29km上流の町で、地震により堤防が崩壊し、丸一日近く流れがせきとめられたとあります(参照:「カラー新聖書ガイドブック」いのちのことば社)。ただ、自然現象で起こりうることだったとしても、神はそれを最善のタイミングで用いられるのです。

ぬりえ

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